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子産石
こうみいし
大楠地域の海岸で、丸い石を見つけることがよくあります。昔からそれを「子産石(こうみいし)」と呼んでいます。三浦半島の西岸、横須賀市秋谷のバス停「子産石」前のレストラン入口には、横須賀市の市民文化資産に指定されている直径1メ―トルにおよぶ見事な子産石が安置されています。
子産石が登場する最初の文献は『新編相模国風土記稿』で、
「東久留和、此地海浜の岩より石を産す。大小あり、子産石と云」
とあります。
また『三浦古尋録』には、
「曲輪(くるわ)ノ浜ニ子産石ト云々有
年此石ヨリ小石ヲ分出ス。故ニ子産石ト云」
とも書かれています。
子産石の産出地である久留和には最大級の石や、地蔵として祀られる変形した珍しいものもあります。また、庭の置石や門柱の飾りに用いられたり、漁具(網の沈子)に利用されたり、そのあり方は多様です。
この丸石は、子を産み出す石ということからか、安産の神が宿る石として崇拝されてきました。子どもに恵まれない婦人が、子産石を撫でてその手で腹をさすると懐妊するとか、また、子を宿した婦人が石で腹をなでると安産になるなどの伝承があります。ともあれ、子産石と呼ばれる丸い自然石は太古の昔から神の宿る石とされてきた、地域の貴重な自然、信仰文化遺産であることは間違いありません。
「おおくすエコミュージアムの会」では、この子産石が環境の変化で減りつつある上に、この石を持ち帰る人が多いため、安産と子宝祈願と減りゆく子産石を守るお願いを託した、小さな「まめ子産石」作っています。
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